住所・氏名変更登記
住所・氏名変更登記が必要な場合とは
例えば、過去に不動産を取得し、登記名義人として住所と氏名が登記がされていたとします。
そして、今回、何らかの登記(不動産売買による名義変更登記や居住用不動産の夫婦間贈与、離婚による財産分与名義変更、住宅ローン抵当権抹消登記、住宅ローン抵当権抹消登記など)をする必要がある場合に、引越や結婚などの理由で、その登記簿に記載されている住所や氏名と、現在のものとが合致しないことがあります。
その場合、今回する登記の前提として、住所や氏名を合わせる登記、つまり住所・氏名変更登記(所有権登記名義人住所・氏名変更更正登記)が必要となります。
なお、会社の場合には、個人の住所と氏名にあたる、本店と商号が合致しないような場合に、同様の登記が必要となります。
よく必要となる場面には、次のようなものが挙げられます。
- 1.売買の売主(所有権移転登記)
- 2.住宅ローンの借り入れ(抵当権設定登記)
- 3.住宅ローンの完済(抵当権抹消登記)
住所・氏名変更登記が義務化されます
登記名義人の住所または氏名に変更が生じた場合は、その変更日から2年以内に変更登記の申請をしなくてはなければならなくなります。
正当な理由なく申請義務を怠った場合は、5万円以下の過料となることがあります。
施行は現時点では明確にされていませんが、令和8年4月までにされるとされています。
住所・氏名変更登記に必要な書類
住所変更登記の場合
- 1.住民票(前住所記載のもの)
- 2.委任状
氏名変更登記の場合
- 1.住民票(本籍地記載のもの)
- 2.戸籍謄本(氏名の変更がわかるもの)
- 3.委任状
※まれに、戸籍の附票や不在籍・不在住証明書、印鑑証明書、権利証、上申書等が必要になることがあります。
※会社の本店・商号変更の場合、履歴事項全部証明書と委任状が必要になります。
※いずれの場合でも、委任状は当事務所にて作成致します。
在日外国人の住所変更・更正登記の問題
京都にも多くの在日外国人が居住され不動産の登記名義人になっていますが、その中でも問題になるのが、平成24年7月9日以前に登記名義人になられ、その後住所変更をした方の住所変更・更正登記の問題です。
これは、平成24年7月9日から外国人にも住民票が交付されることになり、その前日を以って従来の外国人登録制度が廃止され、その管轄が市区町村から法務省に移管したために起こる問題です。この場合、新しい住民票には前住所の記載がなされないため、住所変更・更正登記を申請する場合には、法務省に外国人登録原票の写しの開示請求をして、その開示決定と原票写しを添付書類の一部としなければならなくなりました。
問題というのは、時間と手間がかかるということで、東京の法務省に本人が郵送で開示請求しなければならず、その返信受領まで10日から2週間を要するからです。(法務省:外国人登録原票に係る開示請求について)直接出向いても、即日交付はされない取り扱いで、私がやって一番早かったのが、月曜に署名押印して郵送し、その週の金曜の郵送で受け取ったという、中3日でした。通常、司法書士が取引期日を知らされるのは、1~2週間程前なので、急な対応をしてもギリギリ間に合わないことが考えられます。
また、これは代理になじまないということで、司法書士が職権で請求することができず、一度、その方に会ってレクチャーした上で送付しないと着くまで本当に心配なので、手間がかかります。
法務省の話では、不決定で交付されないことはまずないようですが、取ってはみたが結局、住所がつながらないこともあるため、従来の補完書類である、上申書や不在籍・不在住証明、登記済証、印鑑証明書がいる場合もあり得るでしょう。
住所・氏名変更の登記費用
住所・氏名変更登記には、登録免許税や登記事項証明書等の実費と、司法書士報酬(消費税別途)が必要となります。
下記参考事例は、土地1筆の住所変更登記の場合です。
連件、管轄、登記内容等により登記費用は異なる場合があります。
参考事例:内訳 | 司法書士報酬 | 登録免許税等実費 |
住所変更登記 | 11,800円 | 1,000円 |
合計 | 12,800円 |